ChatGPTは伝え方が9割
2022年11月30日に公開されてから2ヶ月間で月間アクティブユーザーが1億人を突破し、2023年3月下旬にはイタリアでの利用が禁止(現在は解除)されるなど国家を巻き込んだムーブメントを巻き起こしたChatGPT。
しかし「思ったような回答が得られない」との理由から利用をやめてしまった人も多いと聞きます。
管理人も当初は子供だましかなと懐疑的でしたが、ChatGPTへの伝え方を工夫することにより期待する回答が得られるようになり、業務にも利用できる便利なツールであると考えを改めました。
本コラムでは管理人の使い方や会話のコツを紹介していきます。皆様に役立つ情報になれば幸いです。
伝え方が9割
伝え方が9割 [ 佐々木圭一 ]はシリーズ100万部を超える大ベストセラーですが、そこに記載されている情報がそのままChatGPTにも応用できるためタイトルを拝借させていただきました。
- 何を伝えたいのかを明確にする
- 情報量を増やし過ぎない
- 自分の意志は必ず伝える
- 具体例を織り込んで話す
- 相手の理解度を確認しながら話す
何を伝えたいのかを明確にする
ChatGPTに何を回答してほしいのかを明確にすることで回答の精度が飛躍的に向上します。
情報量を増やし過ぎない
ChatGPTに伝える情報量が増えれば増えるほど質問の要点がぼやけてしまい誤答が増えます。
自分の意志は必ず伝える
ChatGPTに自分はどうしたいのかを伝えることで回答範囲が限定され、期待する回答が得られる確率があがります。
それではここで良い質問と悪い質問を実際にChatGPTに聞いてみた結果をお伝えします。
悪い例
私は会社からクラウドの知識をつけろと命令されてこまっています。どうしたら良いでしょうか?
クラウド技術は現代のエンジニアにとって非常に重要なスキルです。クラウドプラットフォームは、柔軟性、拡張性、セキュリティ、およびコスト効率の面で伝統的なインフラストラクチャーとは異なるアプローチを提供します。クラウドの知識を習得するために、以下のステップを考慮してみてください:
- 基本的なクラウドコンセプトの理解:
- クラウドコンピューティングの基本概念を学びましょう。IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)など、主要なクラウドサービスモデルを理解することが重要です。
- クラウドプロバイダーの学習:
- 主要なクラウドプロバイダー(AWS、Azure、Google Cloudなど)が提供するサービスや機能を学びましょう。それぞれのプロバイダーのドキュメンテーションやトレーニングリソースを活用すると良いです。
- 実践的なプロジェクト:
- ある特定のプロジェクトを設定し、それをクラウド上に展開することで、実際の経験を積んでみましょう。例えば、仮想マシンのセットアップ、データベースの構築、Webアプリケーションのホスティングなどのプロジェクトがあります。
- オンラインコースやトレーニングを受講:
- クラウド技術に特化したオンラインコースやトレーニングプログラムを受講することで、体系的に知識を学ぶことができます。
- 認定試験の準備:
- クラウドプロバイダーが提供する認定試験を受験し、認定資格を取得することで、自身のスキルを証明することができます。
- コミュニティ参加:
- オンラインフォーラムやコミュニティに参加し、他のエンジニアと交流することで、問題解決のアイデアを得たり、最新のトピックについて学ぶことができます。
- 実践的な問題解決:
- 日常の業務において、クラウドテクノロジーを活用した問題解決に挑戦してみましょう。実践を通じて学ぶことが非常に効果的です。
- 定期的なアップデート:
- クラウドテクノロジーは急速に進化しています。定期的に最新のトレンドや新機能について学び、自身の知識をアップデートすることが重要です。
クラウド技術を学ぶことは少し時間と労力を必要としますが、着実にスキルを身につけていくことができます。焦らず、着実に学習を進め、実践的な経験を積んでいくことが大切です。
たくさん回答をもらったけど結局何から始めればよいかわからない。焦らず、着実に学習しろと言われてもこれでは学習できないよ。ChatGPTに聞いても無駄だった。
たかよこさんは怒って質問をやめてしまいました。
悪い例は漠然とした質問だったためChatGPTも一般論を返すことしかできなかったのが失敗です。
それでは要点を具体的に聞いてみます。
良い例
私はインフラエンジニアです。AWSの知識を習得する必要があるので効果的な勉強法を教えてください。
AWS(Amazon Web Services)の知識を効果的に習得するためには、以下の方法を試してみると良いでしょう:
- 公式ドキュメントの学習:
- AWSの公式ウェブサイトには豊富なドキュメントがあります。サービスごとのドキュメントやチュートリアルを読んで、基本的な概念と使い方を理解しましょう。
- AWS認定試験の準備:
- AWS Certified Solutions Architect、AWS Certified SysOps Administrator、AWS Certified DevOps Engineer など、AWSの認定試験は非常に価値があります。試験の要点を抑え、模擬試験を受験してみると良いでしょう。
- オンラインコースの受講:
- オンラインプラットフォーム(Udemy、Coursera、edXなど)でAWSのコースを受講すると、実践的なスキルを身につけることができます。
- 実践的なプロジェクト:
- 仮想マシンのセットアップ、データベースの設計、スケーラビリティの向上など、実際のプロジェクトを通じてAWSを使ってみると理解が深まります。
- AWSの無料利用枠を利用する:
- AWSは一部のサービスで12か月間、または一定期間無料で利用できる枠組みを提供しています。これを利用して実際の手を動かしてみると良いでしょう。
- コミュニティ参加:
- AWSのコミュニティやフォーラムに参加し、他のエンジニアと議論したり質問したりすることで、知識を深められます。
- 関連するツールやプログラム言語の学習:
- AWSを効果的に活用するために、関連するプログラム言語(Python、JavaScriptなど)やツール(Docker、Kubernetesなど)の基本を学んでおくと役立ちます。
- ブログやYouTubeチャンネルのフォロー:
- AWSの専門家が運営するブログやYouTubeチャンネルをフォローすると、最新の情報やベストプラクティスを学ぶことができます。
- 定期的な復習と実践:
- 学んだ知識を定期的に復習し、実際のプロジェクトで活用することで、知識が定着しやすくなります。
以上の方法を組み合わせて、自身のペースでAWSのスキルを向上させることができるでしょう。
まずは公式ドキュメントを読んでみるか。認定資格というものを取れば会社に実力を認めてもらえるな。Udemyというオンラインコースを利用すると効率が良いかも。AWSに無料利用枠があるのは助かるな。
自身のロールが「インフラエンジニア」であること、「AWSの知識習得」という目的を明確化し、「学習法を教えてほしい」という意思を伝えたため回答が具体的になりました。
初学者の場合はAWS Certified Cloud Practitionerの資格取得から始めた方が良いと思いますが「インフラエンジニア」というロールから少しハードルが上がったのかもしれませんね。
悪い例で挙げた質問の回答にも「AWS」、「オンラインコース」、「認定試験」というキーワードが含まれているため「相手の理解度を確認しながら話す」で会話を続けていけば目的の回答を得られたかもしれません。
今回は少し長くなりましたので「相手の理解度を確認しながら話す」は次回に解説します。